ちっこいはなし

たのしいせいかつ

音速反復横跳び

感情は振り子みたく揺れる。ふとしたことで変わっては、またすぐに戻ってくる、その繰り返し。いろんな感情を中途半端にたくさん抱え込んでしまう。その結果、感情はころころ変わっていく。たぶん秋の空より変わる。まあ、それが他人に分かることはないだろうが。飽きっぽい。
感情なんてスイッチ一つでパチン、と変えてしまえる。転がるように流れ流れていったり、スーパーボールのように飛び跳ねて壁にぶつかったり。それにさえ飽きてしまったり、疲れ果てると、途端に静かになる。メトロノームのねじもいつかはほどけてしまうのと同じだ。そして誰かや何かがねじを再びねじを巻いてくれると、また忙しなく動き出す。
全てとまでは言えないが、だいたいの感情は風任せだ。能動的に感情を変化させることなんかほとんどありはしない。もちろん理由はめんどくさいから。流れに身を任せると楽だ。自分で行き先を決定しなくても、勝手にどこか遠くへ運んでくれる。例えそこが望まぬ場所であろうと、かき消されそうな光明を見出だして手に掴めるならばそれでいいんだ。
でもやっぱり流れは急流なので、そう簡単には陸に辿り着けやしない。そりゃそうだよな。自分の意思じゃ止まることもできない。
こんな具合に、文章を書いている間にも、感情は空模様より速く変わっていく。船の櫂みたいに行ったり来たり。この運動が前進を伴うことを願ってやまない。