ちっこいはなし

たのしいせいかつ

ベストヒット優越へ

 楽しいことも辛いことも全て一瞬で終わってしまって恐ろしい。ただし得失点差はプラスだ。恵まれすぎていることさえ恐ろしくなったら今度はどうしようか。

 私のアパシーはそのための適応機制なのかもしれない。すばらしいものを「自分を楽しませるもの」としてのみ認識することで、あまり心を動かされないようにすること。透徹した目を持つこと。けれども上手くいかなかった。今じゃ私は、絶対的な他者に圧倒されたいと思っている。

 だから人が死ぬ詩を書く。死は誰にとっても絶対的だけど、私には死ぬ気などさらさらないから、文字で分身を作って殺し続ける。自分が絶対的になって自分を圧倒する。

 刹那主義になって泣きたい。いつも期待ばかり美しくて終わりが恐ろしいのなら、始まりと共に終わってしまえばいい。そういう自分を増幅しては文字の世界で潰して螺旋階段を上ってく。恐れることはない。私は今日も唯一の私。それ以上でも以下でもない。とてつもない振動数の波の中をやり過ごして。