ちっこいはなし

たのしいせいかつ

耽溺

脳髄まで音楽で満たしたいな。窒息するほど溺れたい。脳の音楽漬け。
体全体でメロディを口ずさむ。目に映る全てが打楽器だ。頭の中でハーモニーが生まれて踊り出す。それらがどうにかして頭から出て来ようとするので困ってしまう。歌わずにはいられない。もうこれは音楽を摂取しないと禁断症状が出るな。難儀な体だよ。
変な音って大好き。綺麗な音より面白い音の方が好きだな。怪獣みたいだ。それでいて膨大なエネルギーを持った、圧倒的質量で頭上を吹き過ぎるつむじ風みたいな音楽を求めている。
自分の詞で歌いたい。ぐちゃぐちゃの思いをめちゃめちゃな音に乗せて、しっちゃかめっちゃかに場を掻き乱す竜巻になりたい。振動が風になって吹き荒れるのだ。壇上で叫ぶことの、何と清いことだろう。煌めきを放つ、美しい。時に雷鳴に、時に颶風に、更には月光や小波と成って飛び回ることこそ至高であると信じてやまない。
そんなことを夢見ている。夢見ることだけは誰にも奪えない。